一般社団法人 東京中小企業家同友会渋谷支部
月刊新聞 パルパル 2021年1月号

渋谷支部会員の皆さま、
あけましておめでとうございます。

渋谷支部支部長の鈴木勝博です。 昨年は支部長３年目の年、大変お世話になり、誠にありがとうございました。 本年も精一杯、会員の皆さまのご支援をさせていただきたいと思っております。本年もご指導ご鞭撻よろしくお願い申し上げます。

さて、昨年のコロナは年明けてもその脅威を全く変えず、いやさらにその力を増し、われわれの生活や経済を侵食しつくしています。 きっとこのコロナ禍、たとえワクチンが開発され投与されても、一年や二年で消えていくことはないと思われます。 世間では、ウィズコロナやニューノーマルという言葉が流布され、コロナといかに共存していくべきか報じられていますが、なかなか簡単なことではありません。

そこで、われわれ東京中小企業家同友会渋谷支部では、今年一年、次のようなテーマを持って、コロナによる脅威と戦っていきたいと思っています。

「存亡をかけたこの闘いに、あなたはこの同友会の連帯をどのように活かし、打ち勝っていきますか？」

皆さん、すでにご存じの通り、今回のこのコロナはとても破壊的で、死者重傷者もとても多く、また経済的にも過去にその例を見ないほど、深刻な打撃を与えています。 しかしながら、こういった危機が、過去に全くなかったわけではありません。 東北大震災、リーマンショック、阪神淡路大震災、そして古くは戦後の復興期、等々。東京中小企業家同友会は、60年間、幾多の試練を経験し、そして乗り越えてきました。 実は、このコロナ禍よりもっと甚大な被害を及ぼした危機は数多くあります。 そして、それらの危機を同友会の先輩経営者や仲間たちは乗り越えてきているのです。

では、どうやって、その危機を乗り越えてきているのか？ 私は、同友会の、60年変わらず貫かれている組織理念、「良い経営者」「良い会社」「良い経営環境」を創っていこうとするその理念の中での学び、 そして「連帯の力」が、危機克服の大きな力になったと思っています。 そこで、新年にあたり、もう一度考えていただきたい、この「連帯の力」についてお話していきます。

皆さん、連帯と聞いて、なんだか労働組合のようなイメージだな、と思っていらっしゃる方、いますよね。

もちろん、同友会は労働組合ではありません。 ただ、連帯から想像できるもう一つのもの。強固な人間関係。 それが、同友会を形成する大きな力。すなわち、強固な経営者同士の「絆」を創っていきます。 そして、危機の際に大きな力になるのも、この強固な経営者同士の「絆」です。

では、この「絆」が危機にあたって力になるとは・・・。 素直に考えれば、危機の際に、互いに助け合う力のことを指していると思うのですが・・・。 もちろん、それも危機の際に大きな力になりますが、単にそれだけではありません。 私は、この「絆」が、互いに強く関係しあう情報交流を呼び、そこから危機に打ち勝つイノベーション（革新）を創り出していると思っています。 経営は一人で考え行動しても限界があります。ゆえに、私たち同友会では、平時から、その限界を超えるべく、様々な経営の勉強会や経営体験報告会を開催し、他人の経営から自らの経営を見直す努力を続けています。 その実践が、今回のコロナ禍のような危機の際には、さらに大きな力となって、危機克服の経営革新運動へとつながっていきます。 よく大きな危機の際に、私は以下のことを心掛けています。

①一人で考えすぎないこと
②他人の助けを得ることに躊躇しないこと
③多くの情報を収集し、他人と積極的に関わり合う中で、冷静に情報分析し
　活用していくこと
④「見栄」や余計な「プライド」を捨て、素直な目で、現状を眺めること
⑤決してあきらめないこと

おそらく、皆さんも同じようにお考えだと思いますが、 同友会会員は、以上の心がけとともに、同友会がもつ大きな資産、「連帯」が使えます。 「連帯」は、危機にあたって、一見、どん詰まり状態になっている経営危機、実はそれは自らの思考が創り出している危機に過ぎないのですが、それを突破する力になります。 「連帯」は、他人の思考とぶつかり合い、刺激し合いながら、ともに創り出す「共創」の経営革新活動を創り出していきます。 このイノベーション活動で、自らの経営を、新たなビジネスモデルをもった新次元の経営組織体（「共創」の組織）に、止揚させていきます。コロナ禍だけでなく今後のいかなる危機に対しても、したたかに粘り強く対応実践できる組織となります。

皆さん、この同友会の60年の伝統的資産、「連帯の力」を改めて見つめなおす中で、このコロナ禍を乗り切るきっかけを得、新たなチャンスをつかみとる「強い組織」に生まれ変わっていただければと思います。 まさに、ピンチはチャンス。同友会渋谷支部は、その礎となっていきます。

おわりに、今年も会員の皆様の支部への多くのご支援ご協力が必要です。よろしくお願い申し上げますとともに、皆様の事業のますますのご発展をご祈念申し上げまして、支部長の年頭のご挨拶とさせていただきます。
本年もよろしくお願い申し上げます。

令和３年1月元旦
東京中小企業家同友会渋谷支部
支部長　鈴木勝博